なぜ、見ためで生涯年収が増えるのか
“疲れた見た目”は、自己管理能力や仕事の能力を疑われる
ふーん。ネットで偶然見つけた記事をスマホで読みながら、
「世の中そんなもんかね。まあ、男は仕事よ。女じゃないんだから」
30半ばを過ぎてから、仕事に追われる毎日でおしゃれや肌のお手入れなんか気にも留めなくなった。
妻が買ってきた服をきて、ひげをそって、顔を洗って、寝癖を整えて出社する。
今さら、しゃれっ気だしても、何にも変わりはしないさ。
運よく座れた電車の帰り道。
電車に揺られてついうたたねをしているとうっかり隣の席のOLに寄りかかっていた。。「すみません」俺は、その女性に軽くあやまってから電車を降りた。
次の日。いつもどおり混みあう電車内で昨日俺がうっかり寄りかかったOLが、友達らしき女性と話していた。
何の気なしに聞いていると
「ん、もう聞いて昨日最悪!なんか死神みたいな顔のおじさんが寄りかかってきて、ほんと気持ち悪かった。」
「うわぁ、それ最悪」
「でしょ、なんかいっきにテンション下がるよね」
「ほんとマジ、下がる」
なんだとぉ!おまえらにそんなこと言われる筋合いはない。メラメラと怒りが湧きあがってくるのを必死におさえて会社にむかった。
会社についてからも「最近のOLは、なんなんだよ」とイライラしっぱなしだ。
「なに、いらいらしてんの。」同期入社で気心しれたサユリがコーヒー片手に近づいてきた。
電車での出来事をサユリにいっきに説明し終わると、サユリは大きくため息をついた。
「ダメねぇ。だから高橋君に抜かれちゃったのよ」
高橋とは、サユリと俺と一緒に入社した同期。
実力も成績も同じくらいなのに俺よりも一足先に昇進している。
「なんだよ。あいつのほうがサユリは好みなのか」
俺は、高橋へのおさえきれない妬みをサユリにぶちまける。
「もう、何言ってるの。もう少し顔のお手入れや髪の毛のお手入れしなさい。なんかカサカサして顔色悪いし、疲れて見えるわよ。この間、部長からのあなたどこか体調悪いんじゃないかって聞かれたのよ」
「えっ」
最近、部長が俺を飲みに誘わなくなった。どうしたんだろう。やっぱり高橋のほうがいいのかと拗ねた方向に考えが向いていた俺はサーっと血の気が引いてった。
「顔色がくすんで、すごく疲れて見えているわよ。もう、しょうがないわね。ほら、私が通っているエステで買ったお気に入りの化粧水と乳液あげるから、これでなんとかしなさい」
サユリは、俺の手のひらに小さな化粧水と乳液の小瓶をのせた。これで2週間ぐらい使えるらしい。
顔色がくすんで見える?疲れて見える?
なんだそりゃ、そんなこと言われたことないぞ!
こんなもんでよくなりゃ、人生楽勝だってばよ。
俺はサユリから渡された小瓶をスーツのポケットに放り込んだ。
「おーい、コレどうやって使うんだ」俺は風呂上りにビール飲みながら妻に声をかける。
「なに騒いでるの。まったく」ややあきれ顔の妻が隣に座って俺の前に置かれた小瓶を覗き込んだ。
「あら、みたことないブランドの化粧水と乳液ね」
「ああ、同期のサユリが疲れて見えるから、これ使えってくれたんだ。なんかサユリが通ってるエステのもんらしい」
「へぇ、やっぱりサユリさんきれいだもんね。エステのスキンケアか、よさそうだね。私も使ってもいい?」
「ああ」
無造作に返事をしながら、妻がするように化粧水、乳液をまねしてつける。
「なんか、パパもらってきたあれ付けてから、ツヤツヤしてるってパート先で褒められちゃった」一緒にお手入れを始めてから3日ほどすぎた夜。妻が上機嫌で話し始めた。
「パパも色白くなったよね。前より肌明るくなった」
そんなもんかねと内心思いながら、今宵も妻の真似して肌のお手入れとやらをしてみる。
これから部長に同行しての外回り。
いつもは同期の高橋が同行するのだが、今日はなぜか俺。
どうしてだろう?いや、深く考えちゃだめだ。
得意先の専務が帰り際に俺に声をかけてきた。
「なんか肌ツヤツヤしていて君いいね。これからもよろしくね」
「えっ!あぁ、はい、はい!よろしくお願いします」慌てて俺は、専務に頭を下げた。
そんなこと言われたのは始めてだった。
そういやうちの嫁もパート先の誰かに褒められたって喜んでたな。
そっかぁ、こういうことか!なんだかウキウキして自然と顔がほころんでくる。
「なあ。おい。今日さ俺も得意先の専務にツヤツヤしてるって言われてさ」
冷蔵庫からビール缶を取り出しながら、妻に声をかける。
「あら、よかったわね。パパも肌のくすみ取れてきたから、なんか元気にみえるよね。あっ私もビール」
えっなに、くすんでたの俺?そんでもって元気なく見えてたわけ
「はい、化粧水。パパも手をだして。これ今日で最後ね。私が使っているのより、ぜんぜんいいわ。ねぇ、サユリさんから、どうやったら買えるのか明日教えてもらってね」
妻に化粧水を手のひらに分けてもらぃながら、明日の朝の分もうコレないんだ。
なんだか気持ち落ち込んでしまう俺。
「そうだな、明日サユリに聞いてみるよ」
翌朝
「おはよう、さゆり。あれさぁ、おまえにもらったアレ。ほしいんだけどさ。どうやって買うんだよ。エステいかないと駄目なやつなのか、アレ」
パソコンの電源をいれていたサユリは、ゆっくり振り返って俺の顔をしげしげと見た。
「ねっ、よかったでしょ。あれ。この間奥さんと会ったとき奥さんもすごい肌ツヤツヤになったって思ったんだけどアンタも元気そうな顔になったじゃない!」
「そうなんだ。この間あった専務も肌ツヤツヤしてていいねって。なんかあれから、会う人会う人に今日調子いいねなんて言われてさ。やっぱ、元気にみえるのって大切なんだなって思ってさ」
「ふふふ、サユリ様に感謝しなさいよ。うちの行ってるエステでウェブショップやってるから特別に教えてあげる」
「おっサンキュー、ネットで買えるなら手軽でいいな。」
「男は見た目で信用度が変わるのよ。しっかりやんなさいよ。なんか問診アンケートで自分にあったの選んでくれるサービスがあるから、そこからやれば。高橋君もそれ選んで良かったって言ってたし」
「高橋もそこで買ってるのか」
「そうよ。高橋君市販のメンズコスメがしみるって悩んでたから紹介したの。でもアンタは、こういうの興味なさそうだったから言わなかっただけ」
だから、高橋いつもきれいな肌してたんだ。
事務のおばちゃんが褒めてるのも聞いたことあるしな
待ってろよ。高橋ぃ!俺もすぐに追い越してやるぞ。
さっそく今晩申し込むぞ。
そう思っただけなのになぜか気持ちが高揚してくる。
今晩なんて言わずに昼休みにでも申し込むかぁ。
「おーい。」部長が俺に向かって手招きしている。さあ、今日もがんばるぞ!
ふーん。ネットで偶然見つけた記事をスマホで読みながら、
「世の中そんなもんかね。まあ、男は仕事よ。女じゃないんだから」
30半ばを過ぎてから、仕事に追われる毎日でおしゃれや肌のお手入れなんか気にも留めなくなった。
妻が買ってきた服をきて、ひげをそって、顔を洗って、寝癖を整えて出社する。
今さら、しゃれっ気だしても、何にも変わりはしないさ。
運よく座れた電車の帰り道。
電車に揺られてついうたたねをしているとうっかり隣の席のOLに寄りかかっていた。。「すみません」俺は、その女性に軽くあやまってから電車を降りた。
次の日。いつもどおり混みあう電車内で昨日俺がうっかり寄りかかったOLが、友達らしき女性と話していた。
何の気なしに聞いていると
「ん、もう聞いて昨日最悪!なんか死神みたいな顔のおじさんが寄りかかってきて、ほんと気持ち悪かった。」
「うわぁ、それ最悪」
「でしょ、なんかいっきにテンション下がるよね」
「ほんとマジ、下がる」
なんだとぉ!おまえらにそんなこと言われる筋合いはない。メラメラと怒りが湧きあがってくるのを必死におさえて会社にむかった。
会社についてからも「最近のOLは、なんなんだよ」とイライラしっぱなしだ。
「なに、いらいらしてんの。」同期入社で気心しれたサユリがコーヒー片手に近づいてきた。
電車での出来事をサユリにいっきに説明し終わると、サユリは大きくため息をついた。
「ダメねぇ。だから高橋君に抜かれちゃったのよ」
高橋とは、サユリと俺と一緒に入社した同期。
実力も成績も同じくらいなのに俺よりも一足先に昇進している。
「なんだよ。あいつのほうがサユリは好みなのか」
俺は、高橋へのおさえきれない妬みをサユリにぶちまける。
「もう、何言ってるの。もう少し顔のお手入れや髪の毛のお手入れしなさい。なんかカサカサして顔色悪いし、疲れて見えるわよ。この間、部長からのあなたどこか体調悪いんじゃないかって聞かれたのよ」
「えっ」
最近、部長が俺を飲みに誘わなくなった。どうしたんだろう。やっぱり高橋のほうがいいのかと拗ねた方向に考えが向いていた俺はサーっと血の気が引いてった。
「顔色がくすんで、すごく疲れて見えているわよ。もう、しょうがないわね。ほら、私が通っているエステで買ったお気に入りの化粧水と乳液あげるから、これでなんとかしなさい」
サユリは、俺の手のひらに小さな化粧水と乳液の小瓶をのせた。これで2週間ぐらい使えるらしい。
顔色がくすんで見える?疲れて見える?
なんだそりゃ、そんなこと言われたことないぞ!
こんなもんでよくなりゃ、人生楽勝だってばよ。
俺はサユリから渡された小瓶をスーツのポケットに放り込んだ。
「おーい、コレどうやって使うんだ」俺は風呂上りにビール飲みながら妻に声をかける。
「なに騒いでるの。まったく」ややあきれ顔の妻が隣に座って俺の前に置かれた小瓶を覗き込んだ。
「あら、みたことないブランドの化粧水と乳液ね」
「ああ、同期のサユリが疲れて見えるから、これ使えってくれたんだ。なんかサユリが通ってるエステのもんらしい」
「へぇ、やっぱりサユリさんきれいだもんね。エステのスキンケアか、よさそうだね。私も使ってもいい?」
「ああ」
無造作に返事をしながら、妻がするように化粧水、乳液をまねしてつける。
「なんか、パパもらってきたあれ付けてから、ツヤツヤしてるってパート先で褒められちゃった」一緒にお手入れを始めてから3日ほどすぎた夜。妻が上機嫌で話し始めた。
「パパも色白くなったよね。前より肌明るくなった」
そんなもんかねと内心思いながら、今宵も妻の真似して肌のお手入れとやらをしてみる。
これから部長に同行しての外回り。
いつもは同期の高橋が同行するのだが、今日はなぜか俺。
どうしてだろう?いや、深く考えちゃだめだ。
得意先の専務が帰り際に俺に声をかけてきた。
「なんか肌ツヤツヤしていて君いいね。これからもよろしくね」
「えっ!あぁ、はい、はい!よろしくお願いします」慌てて俺は、専務に頭を下げた。
そんなこと言われたのは始めてだった。
そういやうちの嫁もパート先の誰かに褒められたって喜んでたな。
そっかぁ、こういうことか!なんだかウキウキして自然と顔がほころんでくる。
「なあ。おい。今日さ俺も得意先の専務にツヤツヤしてるって言われてさ」
冷蔵庫からビール缶を取り出しながら、妻に声をかける。
「あら、よかったわね。パパも肌のくすみ取れてきたから、なんか元気にみえるよね。あっ私もビール」
えっなに、くすんでたの俺?そんでもって元気なく見えてたわけ
「はい、化粧水。パパも手をだして。これ今日で最後ね。私が使っているのより、ぜんぜんいいわ。ねぇ、サユリさんから、どうやったら買えるのか明日教えてもらってね」
妻に化粧水を手のひらに分けてもらぃながら、明日の朝の分もうコレないんだ。
なんだか気持ち落ち込んでしまう俺。
「そうだな、明日サユリに聞いてみるよ」
翌朝
「おはよう、さゆり。あれさぁ、おまえにもらったアレ。ほしいんだけどさ。どうやって買うんだよ。エステいかないと駄目なやつなのか、アレ」
パソコンの電源をいれていたサユリは、ゆっくり振り返って俺の顔をしげしげと見た。
「ねっ、よかったでしょ。あれ。この間奥さんと会ったとき奥さんもすごい肌ツヤツヤになったって思ったんだけどアンタも元気そうな顔になったじゃない!」
「そうなんだ。この間あった専務も肌ツヤツヤしてていいねって。なんかあれから、会う人会う人に今日調子いいねなんて言われてさ。やっぱ、元気にみえるのって大切なんだなって思ってさ」
「ふふふ、サユリ様に感謝しなさいよ。うちの行ってるエステでウェブショップやってるから特別に教えてあげる」
「おっサンキュー、ネットで買えるなら手軽でいいな。」
「男は見た目で信用度が変わるのよ。しっかりやんなさいよ。なんか問診アンケートで自分にあったの選んでくれるサービスがあるから、そこからやれば。高橋君もそれ選んで良かったって言ってたし」
「高橋もそこで買ってるのか」
「そうよ。高橋君市販のメンズコスメがしみるって悩んでたから紹介したの。でもアンタは、こういうの興味なさそうだったから言わなかっただけ」
だから、高橋いつもきれいな肌してたんだ。
事務のおばちゃんが褒めてるのも聞いたことあるしな
待ってろよ。高橋ぃ!俺もすぐに追い越してやるぞ。
さっそく今晩申し込むぞ。
そう思っただけなのになぜか気持ちが高揚してくる。
今晩なんて言わずに昼休みにでも申し込むかぁ。
「おーい。」部長が俺に向かって手招きしている。さあ、今日もがんばるぞ!